現役店長に訊く、人気インターネットショップの秘訣
(2011/05/25)
第354回 東日本大震災被災地のお客様からのメール
2,263 部
ブラシの平野 様
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□□ ご挨拶
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こんにちは!
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、
ありがとうございます。
本メールマガジンは、バックナンバーも公開しておりますので、ぜひ
ご覧ください。
http://www.tencyo.biz/
今回のゲストは、前回に引き続き、ブラシの平野 様です。
それでは、一緒に教わりましょう。
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■■ 基礎データ
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【店名】 ブラシの平野
【会社名】 有限会社平野刷毛製作所
【住所】 東京都足立区西綾瀬1-2-23
【URL】 http://www.burashiya.com/
http://www.adachi.ne.jp/users/burashi/
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■■ プロモーション
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|貴店(以下すべてネットショップ)の主な広告宣伝方法は?
|販売促進方法は? 効果的なのは何?
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ネット広告というものは今のところ一切行っておりません。
百貨店での店頭販売の際に、URLを書いたリーフレットを配布して
います。
2001年にYahoo!にサイト推薦をしてカテゴリ登録しました。
お蔭様で「洋服ブラシ」と検索しますと1位表示されます。
今後は、「ヘアブラシ」を上位表示させたいと思っております。
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|メールニュース等は、発行している?
|発行していない場合、その理由は?
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現在メールニュースは一切発行していません。
個人的にメールニュースを受け取るのが好きでないと言うのも理由
です。
季節代わりにでも発行すべきかもしれません。
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|メーカーということで、販売店のことを考えて、ネットショップを
|大々的に宣伝できない、といったことはある?
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一切ありません。
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■■ 店長のホンネ
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|ネットショップを開いて、これまで一番良かったこと、嬉しかった
|ことは何?
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元々全国の百貨店で出張販売しているわけですが、全く販売に訪れ
たことのない土地の方からご注文いただくことがあります。
弊社の存在をネットで初めて知った方が拙いサイトをご覧になり、
信用して期待を込めてご注文して下さったのだと思うと、それだけで
嬉しく感じてしまいます。
父親(現社長・平野佳輝)が開拓した百貨店市場ですので、
私(聡士)は父の耕した畑でご飯を食べているだけなのです。
ネットショップという自分の新しい畑で得た収穫は喜びもひとしお
です。
たまに嬉しいお言葉を頂戴する時もあります。
「使ってみたらとてもよかった」
「これからも良いブラシを提供してください。」
などなど。
お代を頂戴しているのに褒めていただけるなんて、本当に有難いこと
だと感じます。
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|ネットショップを開いて、悪かったこと、困ったことは何?
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悪かったこと・困ったことというより、今現在も至らないことなの
ですが・・・
「ブラシを売る」ということがこれほど難しいことなのかと、思い
知らされました。
店頭で販売する時はお客様にブラシを手に持って触っていただけます
し、説明も身振り手振りを交えて簡単に伝えられます。
ネット上ですと、文章の一語一句に気を使いますし、写真やイラスト
も用意しなければいけません。
後にクレームにならないように出来るだけ誤解の無いように正確に
伝えると、本来もっと伝えたい商品の魅力が伝わらなかったりします。
「道具は実際に手に取らないとわからないので」と言って商品説明を
怠っているかもしれません。
百貨店へのご来場を促して安易にネット販売を諦めてしまったりする
こともあります。
お客様の身になった情報提供が出来ていないのだと思います。
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|ネットショップ開店前と後で、何が一番変わった?
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テレビラジオや雑誌取材の問い合わせが増えました。
大手セレクトショップやブランドなどとのコラボレーションのお話
や、企業の記念品にしたいとの商談をいただくようになりました。
BtoCを意識して始めましたが、思いのほかBtoBのお取引が増え、
それが巡ってBtoCとして実ってまいりました。
デパートでの出展販売にも少なからず良い影響がありました。
ご来店になるお客様が事前にネットをご覧になっていて、
「実物を目にしたかったから」と店頭ですんなりご購入にいたる
ケースが多くなりました。
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|その他、何か特筆すべきエピソードはありますか?
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つい先日の話ですが、東日本大震災の直前にネットでご注文いただい
ていた宮城県のお客様のこと。
あの震災の後でも5日後くらいにちゃんと決済手続きをしていただけ
て感謝しました。
それと同時にご無事が確認できて、なにか遠い親戚の無事が確認
できたようでうれしくなりました。
ブラシを梱包するダンボールを大きめのものにして、スーパーで
購入した食材を詰めるだけ詰めて送りました。
後にメールで「うれしくて涙が出ました。有難うございます。」と
お返事をいただきました。
幸いそのお客様の地域は被害が少なく、電気水道ガスが一時的に使え
なかっただけだそうです。
それでも食料や飲料水に不自由していたようでした。
「歯ブラシにしちゃ箱が大きくて重いな」と思ったそうです。
「自分は被害が少ないのにこのように支援してくださる方がいる。
だから私より困っている人を助けなくちゃ。」とも仰ってました。
ブラシのネット販売を通じて人助けをすることが出来ました。
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|今後の目標、夢などを、どうぞ。
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ネットショップと店頭販売を柱にしてより充実したサービスを提供
したい。
ブラシの専門性を残しながら、新たなアイテムを扱って幅を広げた
い。
「ネットで有名な」「ネットで話題の」などといった言葉で修飾
されたい。
洋服には洋服ブラシ、革靴には靴ブラシなど、様々な分野の付属品
として、主役を引き立てる一流の名脇役として名を馳せる
ブラシブランドを目指したい。
ネットショップが繁盛した後にはリアルショップを持つことも視野に。
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■■ 読者へ一言
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|これからインターネットショップを立ち上げようとしている方に対し
|て、一言。
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私自身は、いつも、
・ネットショップには、自動販売機のような利便性と、接客販売以上
の気配りと思いやりが求められている
・ショップに安心感・信頼感を持ってもらうことが大切
・正確で丁寧な対応
・事務的になりがちな応対にぬくもりが伝わるように
・見えていないお客様の顔、どうしたら笑顔になるか、考える
といったことを、心がけています。
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|一般消費者に対して一言。
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まだまだ未熟なネットショップですが、これからも宜しくお願い
いたします。
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□□ 編集後記
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ブラシの平野様、ありがとうございました。
> つい先日の話ですが、東日本大震災の直前にネットでご注文いただい
> ていた宮城県のお客様のこと。
> あの震災の後でも5日後くらいにちゃんと決済手続きをしていただけ
> て感謝しました。
> それと同時にご無事が確認できて、なにか遠い親戚の無事が確認
> できたようでうれしくなりました。
> ブラシを梱包するダンボールを大きめのものにして、スーパーで
> 購入した食材を詰めるだけ詰めて送りました。
> 後にメールで「うれしくて涙が出ました。有難うございます。」と
> お返事をいただきました。
前々回(第352回)、
> インターネットというデジタルなツールですが、結局はアナログな
> 人と人のつながりです。face to faceなコミュニケーションが欠か
> せません。
とおっしゃていましたが、上記はまさにその1例。
道具として優れたブラシを、face to faceなコミュニケーションで
販売するネットショップ。
これからますます、発展されることでしょう。
(後略)