[331] 茶道具屋としての責務と誇り

現役店長に訊く、人気インターネットショップの秘訣
(2009/08/19)
第331回 茶道具屋としての責務と誇り
2,415 部
尾道・藤原茶舗 様
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□□  ご挨拶

こんにちは!
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、
ありがとうございます。

本メールマガジンは、バックナンバーも公開しておりますので、ぜひ
ご覧ください。
https://ten.surv.co.jp/

今回のゲストは、尾道・藤原茶舗 様です。
それでは、一緒に教わりましょう。

■■■
■■  基礎データ

 【店名】 尾道・藤原茶舗
 【住所】 広島県尾道市土堂1丁目1-13
【URL】 http://www.fujiwara-chaho.co.jp/

■■■
■■  特徴、優位性(1)

┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|貴社は、大正2年創業とのことですね?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

二代目が明治44年に生まれたときには、初代が当地で、茶道具販売と
お茶の専門店として、商いをさせていただいておりました。
創業は、およそ明治の中頃ときいております。

しかし、これを証明する記録がないので、昭和41年、商工会議所から
表彰をしていただいた賞状に、大正2年創業と書かれていることを根拠
に、大正2年を創業の年とさせていただいております。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|今は三代目が継がれているのですね?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

初代は、尾道の旧家に茶道を教えに行き、茶道具の目利きであったと
いうことです。
二代は、表千家 即中斉家元襲名茶事のおりには、正装で京都まで
かけつけたと伝わっています。
京都まで、夜行列車で半日かかる時代のことでございます。

当代の三代目は、茶道具が好きで、大学卒業後、家業を継ぐことに
抵抗感はなかったということです。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|貴店(ネットショップ)の、立ち上げ時期・立ち上げの経緯は?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

ネットショップ開店の日は、2007年10月4日です。
10月4日は初代の命日なので、その日を選んでオープンいたしました。

二代が2007年の1月に亡くなり、三代目の代になったときに、新しい
視点でビジネスを構築する必要があると考えたからです。

対面販売が販売の基本という考えを持ちつつ、当社を広く知っていた
だくためには、インターネットというツールを外すことができないと
考えはじめたのでした。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|貴社における、ネットショップの位置付け・役割は?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

2007年の開店時から今までの1年半は、実店舗が中心で、HPを持って
いるということで満足をしていました。
店の紹介や、尾道の出来事など、読んでいただくだけのサイトでいい
というサイトでした。

これは、珍しい茶道具や、高価な茶道具をネットに載せて販売する
ことの抵抗感から、生じていたものでございます。
お茶会で、お客様を驚かそうとしているお道具が、誰でも閲覧可能で
さらに、金額も明示されていたら、皆さん興ざめですね。
だから、商品アップに抵抗がありました。

今は、HPの内容を試行錯誤しています。

一年たって、固まってきたのは、たくさんある情報の中から、
「核」になることに磨きをかけていくこと。

茶道具も何千点も商品がありますが、その中から、当店のお勧め品を
ピックアップして、ご紹介することと
「こんな商品を取り入れたいな」と思うときのアンテナショップ的な
役割ができないか考えているところでございます。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|貴店(ネットショップ)で販売している茶道具の特徴は?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

種類で申し上げますと、抹茶道具と煎茶道具がございます。

抹茶道具と申しますのは、表千家流、裏千家流、広島で申し上げますと
上田宗箇流というふうに、抹茶でお茶を点てる茶道の流派です。

煎茶の流派も、全国で50流派くらいございます。
広島では三癸亭賣茶流、小笠原流、京都では、小川流、二条流など、
たくさんの流派がございます。
煎茶は、玉露や煎茶、新しくは紅茶を使いお茶を点てる流派です。

ともに、「茶を点てる」という行為の中に、日本人の美意識、精神性
の高さを内包しています。
抹茶、茶道具は、古来、大陸から伝来していますが、その中で「茶道」
という心の道を作り上げ、それが脈々と息づいています。


当店の茶道具は、ご流派に拘らず、広く、「茶道」という観点からの
茶道具を取り扱っています。

もちろん、流派により使う茶道具、使わない茶道具がございますので、
お客様がいいと所望なさっても、
「これは、お客様の流派ではお使いにならないのですよ。」
と、アドバイスさせていただいて、他のお道具を、ご一緒に探させて
いただいています。

「茶道」を敷居が高いものと思い、尻込みをなさっているお客様の
お気持ちを考えて、「お稽古用から、お茶会の御道具」まで、
ご相談と、会話ができる店作りを目指しています。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|「茶道具屋として、『すべてにおいて責任のある商品しか置かない』
|というのが私の信条です。」
|「当店においては『真贋の保証は致しません』という言葉はありま
|せん。それが道具屋の責務であると考えております。」
|とのことですね?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

はい。ネットで「茶道具」を販売するということは、真面目な商いを
していた販売店にとって、大変な出来事でした。

例えば、出会ったことがない人が、ネットで掘り出しものを探そうと
されます。

茶道具の真贋は、プロが実際に見て、いろいろな角度から判断をします。
「箱にお家元の箱書きがあるから、中の茶碗も本物でしょう。」
とは、言えないのです。

そこには、中の茶碗が変わっているかもしれない、という現実的な
問題があります。
オークションでは、そんなことは、おかまいなしに商品が掲載されて
いたこともございます。

これでは、インターネットの基礎的なコンセプト、「性善説」も崩れ
てしまいます。信頼できるお店で、信頼できる商品が届くからこそ、
お客様は安心してお買い物を楽しむことができるのです。

このような言葉をあえて載せなくてもと思われるかもしれませんが、
当店は、ネット販売を始める以前から、「信頼される仕事」をモットー
にしていました。

この言葉を明記しているのは、「信頼される仕事をすること」を
胆に命じ、お客様に信頼される店作りを目指しているということを
お伝えしたくて書かせていただいております。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|貴店(ネットショップ)で販売しているお茶の特徴は?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

まずは、国産のお茶にこだわっています。
今のところ茶処、静岡、宇治、出雲の茶を扱っています。

少しずつ、自分のコンセプトにあったお茶を探して、分けていただける
のは嬉しいことですね。


「国産紅茶」を見つけたときには、びっくりいたしました。
http://www.fujiwara-chaho.co.jp/SHOP/list.php

明治政府が、紅茶を輸出産業として育てようとしていた時期もあった
のですが、外国の紅茶の安さに負けて大打撃を受け、鹿児島の
茶業研究所の中で、ひっそりと栽培されていました。
さらに、1979年の紅茶輸入自由化に伴い、市場からほとんど姿を消し
てしまいました。
その復活を願い、1985年から国産紅茶の製造に取り組んでいる若者と
出会いました。


また、ある日突然現れた、白いお茶の葉。
通常であれば、つみ取ってしまうものですが、これを品種改良を加え
て、十年の歳月をこえ、新品種登録まで育てあげた「きら香」。
http://www.fujiwara-chaho.co.jp/SHOP/kiraka-sencha.html

「きら香」の煎茶は、新芽だけが白色なので、本当の限定品です。
そこまで、「茶」を作ることに情熱をかけた人々のこだわりのお茶を
販売しています。


さらに、京都・おぶぶ茶苑さんの、「一滴の茶のしずく」に感動し、
大学卒業後、茶農家に転身された松本さんにお会いして、「茶」という
日本人がこよなく愛する嗜好品の素晴らしさを再認識しています。

おぶぶ茶苑さんの茶畑オーナー制度にも、参加させていただいていま
す。
http://www.obubu.com/owner/

茶の栽培に適した機械が入らない山の上での、本物のお茶づくり。

額に汗して働く若者が増えれば、もっと日本は元気になる。そして、
日本茶のおいしさを、今の若い人の感覚で世界に発信しようと努力
なさっている姿には、いつも大きな勇気をいただいております。

茶の専門店として、お客様に自信を持ってお勧めできる商品を探し、
お届けできる店になりたいと思っています。

当店では、このように、お茶作りにこだわりを持った商品も取り扱って
いけるように企業努力をしております。


┌――――――――――――――――――――――――――――――――
|最近の売れ筋商品、おすすめ商品、目玉商品は?
└――――――――――――――――――――――――――――――――

季節の先取りを心がけています。
HP上では、夏のお道具ですが、お茶会は、秋から来年の春のお道具を
探していらっしゃいます。

早い先生では、2~3年後の席のお道具をお求めになっていらっしゃい
ます。
私どもも、お道具を探すときは、余裕を持って良い物を探してくる
というスタンスで、お受けしております。

「いついつのお茶会で使いますから、いついつまでに探してください。
お家元の箱書きがついたものを使いたいから、いついつまでに箱書き
をもらってください。」
ということは通用しません。

お道具は、出会いなのです。そして、箱書きも、何年でできあがるか
わかりません。
だから、お客様は、ご自分がこれと思う商品があれば、
「いつか使うから買っておきましょう」とうことになります。

そういう意味で、夏だから他の季節の茶道具は載せないということは
していません。

さらに、お軸や、茶杓の「銘」のご用命も承っています。
お電話で、ご相談いただければ幸いでございます。

電話 0848-22-4815 (尾道 藤原茶舗)

目玉商品は、
茶杓 東大寺二月堂修二会・松明の竹茶杓 【茶道具】 別注文、承ります!
http://www.fujiwara-chaho.co.jp/SHOP/chashaku-toudaiji.html

東大寺二月堂で行われる「お水とり」の道明りとして点される大松明
の竹を以て削られた茶杓です。
東大寺別当の上野道善師に銘をつけていただきました。
別注で、お好きな銘をつけていただけます。


売れ筋商品は、ガラスの抹茶茶碗です。
http://www.fujiwara-chaho.co.jp/SHOP/garasu-chawann6.html

当店が扱うガラスの抹茶茶碗は、耐熱なので、熱いお湯を入れても
割れにくいという特性があります。最近では、茶道の点前ではありま
せんが、氷を入れたりして、お客様にお出しされているようです。


お勧め商品は、天皇陛下・皇后陛下、ご結婚50年の金婚式を記念して、
作家が心を込めて意匠した「寿」の軸です。
http://www.fujiwara-chaho.co.jp/SHOP/2009n-s-jiku-h7-01.html

気品があり、ご結婚お祝いや、結婚の内祝いなど、喜んでお使いいた
だいています。結納の部屋や、身内のご結婚の時など、御祝いの場に
ふさわしい掛け物でございます。
「寿」は、橋本紹尚師・奈良・柳生芳徳禅寺 が書かれました。
今年おめでたいことがあった人には、ぴったりのお軸です。

□□□
□□  編集「中」記

尾道・藤原茶舗 様、ありがとうございました。


> 「茶道具屋として、『すべてにおいて責任のある商品しか置かない』
> というのが私の信条です。」
> 「当店においては『真贋の保証は致しません』という言葉はありま
> せん。それが道具屋の責務であると考えております。」

> 信頼できるお店で、信頼できる商品が届くからこそ、
> お客様は安心して買い物を楽しむことができるのです。
> このような言葉をあえて載せなくてもと思われるかもしれませんが、
> 当店は、ネット販売を始める以前から、「信頼される仕事」をモットー
> にしていました。

老舗の暖簾を掲げる誇りと自信が伝わってくる、素晴らしい言葉では
ないでしょうか。
もっと目立つように、たとえば全ページのトップに掲載されていても
違和感は無いと思われます。


この続きは、次回(8/26頃発行)とさせていただきます。
お楽しみに!


それから、尾道・藤原茶舗 様のご厚意により、
「読者限定サービス」をことづかっていますので、お知らせします。

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読んでくださいました読者の方のみに、感謝の気持ちを込めまして、
2009年9月30日までにご注文をいただきましたお客様には、消費税5%
をサービスさせていただきます。

ただし、必ず『インタビューを読んだ』と、書き加えてください。
後で金額を修正したメールを送らせていただきます。
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みなさま、この機会に、ぜひご利用くださいませ。

(後略)

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