[130] 「本物」は売れないもののなかにある

現役店長に訊く、人気インターネットショップの秘訣
(2004/07/14)
第130回 「本物」は売れないもののなかにある
3,810 部
味のたれ吉(自然の恵み専門店) 様
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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□□  ご挨拶

みなさま、こんにちは。ご購読いただきまして誠にありがとうございます。
初めてのみなさま、数あるメールマガジンの中から選んでくださり、
ありがとうございます。

今回のゲストは、味のたれ吉(自然の恵み専門店) 様です。

それでは、一緒に教わりましょう。

■■■
■■  基礎データ

【会社名】 アカマハール・インコーポレーテッド
【運営母体】 ダイヤモンド食品工業株式会社
【店名】 味のたれ吉(自然の恵み専門店)
【住所】 東京都江戸川区南小岩6-12-23
【URL】


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■■  特徴、優位性

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|インターネットショップを始めたのはいつ? きっかけは?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――
2003年8月楽天に申し込み、9月にショップを立ち上げました。

山形、ダイヤモンド食品工業の社長から「ネットショップをやらない?」
と声をかけていただいたのが直接的なきっかけです。

それまではノルウェーに住みついて水産物の輸出をしていたかと思うと、
南米チリで生うにの工場を経営してみたり、世界最大規模の、ポーランド
漁業公団の日本窓口をやってみたり・・・と、食品の生産現場で海千山千
ながら、一匹狼としては、比較的規模の大きな仕事をやってきたのです。
そんななかでちょうど、いくつかの要因が重なって、ネットショップ運営
に興味を持っていました。

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|興味というのは?
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【ネットマーケティングへの技術的興味】

その頃、縁あって中国の砂漠から輸入してきた健康食材を売ることになり、
「戦略的口コミ」とか、「パブリシティー戦略」といった概念に始めて接
しました。情報発信(広報)によるマーケティングへの関心は必然的に高
まっていました。

とくにネットショップと言えば、売れないものでもテクニックで売ってし
まうというイメージがあって、ぜひ体験してみたかったのです。
(これが完全に間違いだということは、あとで嫌というほど思い知らされ
ましたが・・・)

【情報発信(食品業界で正義の味方になりたい)】

一方で、食品業界の川上部分に深く関わるうち、様々な疑問に直面してい
ました。

たとえば・・・・

●カナダのシシャモ買付け現場で「子持ちでない」ため、海に捨てられて
 いるオスシシャモ。(オスのほうが魚としてはおいしいのですよ。)

●「価格破壊」のため日本は水産物買付け現場では、とっくに国際競争力
 を失っておりB品しか買えないのに、A品に見せかける様々なテクニッ
 ク。

●大変な苦労をして「みょうばん」不使用の本物のうにを輸入したのに、
 「このうには味が足りない」と言われたこと。

日本での食文化の衰退どころか、最近は味覚障害が話題になっています。
味覚障害には亜鉛を補充すればいいなどと言われますが、根本的に改善す
るにはライフスタイルを直すしかないと深く信じています。
そんなことを常時「吠え」られるのは、インターネットしかない。
(でもあまり自己主張が強いと読者がひくことに最近気がついた・・)

【生活を安定させたい】

原料取引は本当にリスキーな世界です。私も10数年の間に「大もうけ」と
「無一文」を2回ずつくらい体験しています。
まわりを見ていると、最終的に生き残っているのは、「小売」ルートを持
っている人なんですね。
ネットショップで1万人もお客さんがついてくれれば、左うちわで安泰、
安泰・・・・と思ったのはやっぱり大間違いでした・・・・・・

 

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|「運営母体:ダイヤモンド食品工業株式会社」という標記がありますが、
|貴社がそのインターネットショップをアウトソーシングで運営している
|というイメージ?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――

そうですね。当初、山形で無農薬栽培を36年も続けてきたダイヤモンド食
品工業の製品を売るところから始めたので、運営母体が同社になっていま
すが、実質的な運営は私の経営する「アカマハール・インコーポレーテッ
ド」が行っています。

ダイヤモンド食品工業を表面にだしている理由は、自然食材の老舗として
の同社のネームバリューもありますが、同社が無汚染のまま守り続けてき
た、100万坪もの社有ぶな林の自然に魅せられたこと、全体食を標榜する
マクロビオティック食材の生産基地となっていること、野菜を皮まで煮込
んだ看板商品「野菜スープ」に魅力を感じたことなど、個人的な思いいれ
にもあります。

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|貴店の主な商品は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――

何より押しているのが、「おいしいだし」(海のペプチド)です。
この商品との出会いが、当店の方向性を定めました。

40年も前、下関のふぐ屋さんが「魚まるごと」を食べることができれば健
康に人生をまっとうできるという信念から開発を始めました。魚の一般的
な可食部は40%。でも本当に身体にも舌にもおいしいのは、あとの60%です。

だから、「魚まるごと」食べようという発想はすごいことなんです。
魚は水とタンパク質と脂肪でできています。化学処理ならこれをすぱっと
分解し、アミノ酸と脂肪にわけられます。これは調味料として売ってます
よね。
「おいしいだし」は、化学処理によらず、職人の技術だけでそれをやろう
としたがために、開発に40年かかったのだそうです。

できあがりは水に溶けやすい、超微粒子化(低分子)した粉末です。
分子レベルの膜を通しているので、脂肪分やアレルギーの原因となる物質
がすべて除去されています。

脂肪分がないので酸化しない。だから臭みがでない。
アレルギー物質がないので病人や赤ちゃんの離乳食にも使える。
低分子化(ペプチド)しているので、体内への吸収もよく、健康食品とし
ての効能も数多く報告されています。

ただこの商品は「健康食品」として、効能効果を謳って売ることは避けて
います。あくまで「おいしさ」にこだわってるのです。
人が感じる「おいしさ」は、ほぼ主観的なものですが、絶対的基準がひと
つだけあると思います。それは「安全で身体によいものかどうか」です。
動物が食べていいものかどうか見分けるための本能として、味覚があった
はずですから。

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|料亭でも使われているとか?
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これを使っている有名料亭やレストランの名前をだせないのが残念です。
「味」が認められたからこそ採用されていますが、これを使ったとなると
料亭のイメージが崩れるのですよね。

でもプロの間では口コミで評判となったこともあり、ついに味の権威
「大阪府調理師団体連合会」の会合で推薦されました。
これは「だし」としては画期的なことです。

 

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|他にもユニークな商品がたくさんありますが、品揃えのコンセプトは?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――
インターネットショップを始めたからには、魅力はあるが一般的に流通し
にくいマイナー商品を販売したいと思っています。

たとえば・・・
生産現場で捨てられてしまうもの(シシャモのオス、たらこをとった後の
すけそうだら、規格外の野菜や水産物、零細生産者がまじめに作っている
ものの、規模が小さすぎたり、地味すぎて流通にのれない商品(調味料、
だし、特産品)、絶対量の少ない天然資源(またたび、天然じゅんさいな
ど)、極端な味や風貌のもの(エスニック系調味料、レアもの、マニアッ
クもの)。

売れているもの、大量生産システムにのったものというのは、ある意味、
食品としてはすでにスポイルされたものです。
「本物」は売れないもののなかにあるのです。

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|最近の売れ筋商品、お勧め商品、目玉商品は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――

うちとしては珍しい健康食品系なのですが、日本糖尿食研というメーカー
の「菊芋エキス」という1回分の価格が200円もする商品がありまして、
「そんなには売れないだろう」と1本150円でオークションにかけたところ、
100本単位で買っていく人が大勢いてびっくりしました。

天然のインシュリンと言われる、ちょっと極端な性格の商品で、深刻な問
い合わせなども多く寄せられたことから、安易に扱ったことを反省し、
お試しセットを使った人にしか販売しないようシステムを変えました。

もうひとつ全く性格の違う商品ですが、中国で食べて気に入った、四川省
の激辛鍋の素(火鍋底料)を輸入するべく、商品を開発中です。サンプル
輸入した「火鍋底料」はすでにオークションでモニターを募集し、試食し
てもらっているところですが、これを北転船漁獲の最高級まだら一尾分の
輪切りと、ペルー産の赤いか(身の厚い柔らかいいか)と組み合わせた
火鍋セットとして販売しようと考えています。
これは絶対おいしいはずです。お楽しみに。

 

■■■
■■  プロモーション1

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|楽天ブロードバンドやスカパー!で、TV放映もしていますね?
| http://bb.rakuten.co.jp/goods/gourmet/dashi/
|すごく説得力がありそうですが、お客様の反応は?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――

楽天の関連会社で楽天TVというのがありまして、スカパーに番組を持って
いるのです。ここから声をかけていただいて、「おいしいだし」(海のペ
プチド)を出品しました。

製作のスタッフが優秀で、随分と参考になりました。
テレビでの電話注文1件あたりの手数料とか、送料などの関係で、最低注
文単位が大きくなったためか、売上にはあまり結びつかなかったものの、
製作スタッフが優秀でいろいろ勉強をさせてもらいましたし、楽天のトッ
プから動画にリンクも張ってくれたので隠れた効果はあったものと思いま
す。

┌―――――――――――――――――――――――――――――――――
|最近、ショップの名前を変更したそうですね? そのわけは?
└―――――――――――――――――――――――――――――――――
ショップ名、実は一年たたないうちに2回も変えているんですよ。
最初がそのものずばり、ダイヤモンド食品工業。

ところがダイヤモンド食品工業の製品以外も売り始めたので、汎用性と
インパクトを考えて、びっくりビーバー「たれ吉商会」としました。
たれ吉は妻のニックネーム。あとは単なる語呂の良さで考えました。
エアコンを扱っている電気屋?とか言われましたが、お客さんには結構
評判良かったんですよ。この頃はそもそもSEOなんて言葉すら知らなか
ったので、これで満足していました。

ところが、当店のようにレア商材中心の場合、プレゼントでメールアドレ
スを集めてメールマガジンで宣伝する【楽天戦略】よりも、検索エンジン
から来るお客さんのほうが圧倒的に多いことに気がつきました。

この頃、ネットショップ運営者のグループに入ったことから、同業者さん
たちとの横のつながりが急激に増えまして、先輩ショップの店長さんたち
からSEO対策上の、店名の重要性について教えてもらいました。

楽天の規約では店名は16文字以内。これに収まるように店名を考え、しか
もSEOをやるのですから随分頭をひねりました。
そこで例の同業者たちのメーリングリストで意見を求めたところ、涙が
でるほど親身なアドバイスをたくさんいただきました。
結果としてつけたのが、今の店名、味のたれ吉(自然の恵み専門店)とな
ります。

□□□
□□  編集「中」記

味のたれ吉(自然の恵み専門店) 様、ありがとうございました。

食品業界の「川上」部分に詳しい店長ならではの、こだわりが、
「これでもかっ」というくらい伝わって来ましたね。

おそらくこれが、高いリピート率(詳細は次回)に繋がっているのでしょ
う。


この続きは次回(6/23頃発行)とさせていただきます。
お楽しみに。


それから、味のたれ吉(自然の恵み専門店) 様のご厚意により、
「読者限定サービス」をことづかっていますので、お知らせします。

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ダイヤモンド食品工業の看板商品「野菜スープ」のプレゼント企画を
やることにします。
↓    ↓    ↓    ↓    ↓
http://www.rakuten.co.jp/diafood/360410/

こちらから応募の際、お店への伝言を書くフォームがあります
(ステップ3)ので、「インタビュー読んだよ。」とご記入ください。

ダブルチャンスとして、記入いただいた方のなかから抽選で1名さまに
「おいしいだし」(海のペプチド)300g入りをお送りします。
(こちらの当選発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。)

それから2004年8月31日までに当店でお買い物をして、やはり「インタ
ビュー読んだよ。」と備考欄に記入いただいた方全員に、海のペプチド
「ぐみ」をひとつかみプレゼントします。
某大手美容系企業が「ダイエット用」に試作して、企画倒れになった
サンプルですが・・・・
------------------------------------------------------------------

みなさま、ぜひご利用くださいませ。

(後略)

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